同伴者が長いパー4のセカンドでユーティリティをナイスオンさせると、主人公は誰よりも大声で歓喜し、ハイタッチを求める。その熱気は素晴らしいが、自分の番になると「俺も完璧に打って仲間に喜んでほしい」という思いが先行し、力みが生じやすい。ヘッドスピード35〜39m/s前後のこの飛距離帯で、ユーティリティやフェアウェイウッドが高弾道で「吹き上がる」と、風の影響を受けやすく、思ったより距離が出ずにグリーン手前のバンカーへ吸い込まれることが頻繁にある。
物理的には、アウトサイドインの軌道で入射角が緩やかすぎると、フェース上部でヒットし、バックスピン量が過剰になり高弾道が加速する。ストレートな持ち球ゆえに、曲がりでグリーンを狙うという発想が生まれにくく、常に真っ直ぐ飛ばそうとする意識が、かえって「球が散る」原因となる。クラブ選択時に「MAX飛んだ時の距離」で判断しがちなのも、このタイプの陥りやすいミスだ。
「他人のプレーや空気を気にしすぎるあまり、自分のゴルフに集中するエネルギーが残らない」という弱点は、まさしくこの番手選択の場面で顕著に現れる。同伴者の期待や声援が、無意識のうちに「自分の実飛距離」という冷静な判断を曇らせ、結果的にミスヒットを誘発し、さらに自己嫌悪に陥る。この悪循環が、ラウンド後半の疲弊に直結するのだ。
主人公がこの飛距離帯で真価を発揮するには、まず「芯を外した時でも出る距離」を正確に把握することだ。高弾道の特性を理解し、アゲンストの風では1番手上げる、あるいは短く持つなどの判断基準を持つことで、安定したストレートボールを供給できるようになる。「方向性が安定しない」という悩みを解消し、仲間からの信頼を勝ち取る、真のリーダーシップがそこに生まれる。