ドライバーで390ヤード以上を飛ばす「主人公」タイプの男性ゴルファーは、プロゴルファーやロングドライブ競技者のレベルに到達している。通常のゴルフコース設計の想定外の距離を飛ばすため、コースを「別のゲーム」として攻略する視点が必要となる。同伴者の反応はもはや「驚き」を通り越し、「あきらめ」の境地。しかし「主人公」は、そんな状況でも「みんなが笑顔なら」と、自分の爆発的飛距離をいかにコース上で活かすか、その再現性を高めることに集中する。
このレベルでは、爆発的飛距離を維持しながら、再現性を高めることが最大の課題となる。体の各部位の連動シーケンス(キネティックチェーン)のわずかなズレが、致命的なミスショットを招く物理的現実がそこにある。低弾道ストレートという持ち球は、飛距離性能と風に対する強さから、この距離帯で圧倒的な優位性を持つ。しかし、その特性を最大限に引き出すには、スイング中のわずかなブレも許されない。
「他人のプレーや空気を気にしすぎるあまり、自分のゴルフに集中するエネルギーが残らない」という「主人公」の弱点は、この極限の再現性を追求する上で、わずかな心の乱れとして現れる。同伴者のミスや不調が、自分の集中力をわずかに削ぎ、キネティックチェーンの連動を狂わせる。「全員に楽しんでほしい」という思いから八方美人になり、自分だけが疲弊してしまうという心理的悪循環が、このレベルでは許されない。スコアは技術精度の副産物であり、スイングの極限再現性そのものが唯一の探求対象となる。
この「主人公」に必要なのは、一般のゴルフ指導では語られない「地面反力の最大化」「インパクトゾーンの最長化」「力の伝達シーケンス」といったスポーツ科学の観点からのアプローチだ。低弾道ストレートの強みを活かしつつ、いかにスイングの再現性を高め、ミスの幅をゼロに近づけるか。それは、最高のスコアを追求する過程で、結果として周りの笑顔を創造する、新たな「主人公」のゴルフ哲学となる。