「職人」のあなたは、ラウンド中、ほとんど喋らずもくもくとプレーしているのに、終わってみれば誰よりも良いスコアを出しているという経験が何度もあるはずだ。特にドライバーが平均150y以下のこの飛距離帯では、Par4のセカンドショットで常に200y以上が残る物理的現実に直面する。この状況で、ウェッジで50-70yのアプローチが右プッシュやフェードが強すぎることで距離感が合わないと、途端にバーディチャンスどころかパーセーブも難しくなる。
低弾道フェードという持ち球は、風に強い反面、グリーン上でボールが止まりにくい。特にウェッジショットでは、上から打ち込みすぎるとスピンがかかりすぎてショートしたり、逆に緩むとフェースが開いて右に飛び出すミスが起こりがちだ。これは、身体の正しい反応ではなく、頭で考えすぎる思考型(ST)の職人ゴルファーが陥りやすい罠だ。微妙な距離感での体重移動のずれや、インパクトでの左手首の角度の狂いが、ダフりやトップ、そして狙ったラインから外れる低い球 打ち方になってしまう。
教えられるのが大嫌いで自己流に固執するあまり、ウェッジの繊細なバウンスの使い方やクラブの入射角の調整といった基本的なセオリーを試さないこともあるだろう。気分が乗らない簡単なレイアップの場面で露骨に集中力を欠き、適当に打ってしまい、グリーン周りから何度もアプローチを繰り返す。ミスが続くと、「今日のスイングにはこのバランスが合っていない」と、ラウンド中にも関わらずクラブに鉛を貼り始める、そんな道具へのこだわりがスイングの不調をクラブのせいにしてしまう弱点が顔を出す。
しかし、静かなるテクニシャンである「職人」のあなたは、一度「これだ」と信じたパターンを確立すれば、驚くべき再現性でグリーン周りの物理的現実に立ち向かえる。ショートゲームにおける身体の微細な反応を極限まで追求し、狙ったところにボールを落とす「寄せの職人」こそ、この飛距離帯で真価を発揮するあなたの姿だ。