「ナイスアプローチ!いやぁ、あれは最高の寄せだね!」と同伴者がグリーンサイドからピンに絡めたウェッジショットに、自分のことのように大声で歓喜しハイタッチを求める主人公。しかし、自分の番が来て残り30ヤードの微妙な距離に球が鎮座しているのを見ると、とたんに胸がざわつく。低弾道のドローボールを操る彼にとって、この距離のキャリーとランの計算はいつも頭を悩ませる課題だ。
低弾道ドローは風に強く、ランも稼げるが、グリーン周りの短い距離で止める技術には向かない。特にu150y帯のHSでは、インパクトでフェースが被りやすく、意図しないドロー回転が強くかかりすぎて、ターゲットより左へ引っかける「チーピン」のような球筋が出やすい。この「左に出る」ミスは、グリーンオーバーやバンカー直撃の恐怖と直結する。
同伴者がミスをして肩を落とすと、「大丈夫!切り替えていこう!」と声をかけながらも、実は内心、自分のアプローチへのプレッシャーが倍増している主人公。もし自分がダフってしまえば、場の空気がさらに悪くなるのではないかという「考えすぎる」弱点が発動し、普段ならしないような力みが生じ、手のひらに鈍い痺れが残るミスショットへと繋がってしまう。
周囲の雰囲気よりも、目の前のボールとピンへの集中。低弾道ドローの特性をグリーン周りで活かすには、手先の感覚ではなく、体全体の連動で距離を合わせる再現性が鍵となる。完璧主義の自分を一旦脇に置き、グリーン周り30y以内の鉄板パターンを確立し、感情的になることなく淡々と遂行する、それが主人公が笑顔でラウンドを終えるための第一歩となる。