Par5の2打目、残り230ヤード。5番アイアンを手にグリーンを狙う職人(静かなるテクニシャン)のあなたは、その飛距離が武器となり、Par5の2オンが現実味を帯びてきたことに、静かなる興奮を覚えている。しかし、このヘッドスピード帯になると「力む」ことの代償が大きくなることを、あなたは経験的に知っているはずだ。ラウンド中はほとんど喋らずもくもくとプレーしているが、心の中では飛距離の武器を活かしたい気持ちと、リスクの間で葛藤が生まれている。
持ち球がドローで高弾道ゆえに、この距離帯で力みが加わると「チーピン 原因」や「左に出る」球筋、さらには「吹き上がる」ことでコントロール不能なミスに繋がりやすい。インサイドアウト軌道が過剰になり、ヘッドが極端に返りすぎることで、左への大きな曲がりや、引っかけて右プッシュアウト(左に飛んでから右に戻る)といった球筋の乱れが生じる。一発の大きなミスがスコアを大きく崩す物理的現実が、目の前にある。
そんな時、職人タイプの弱点である「教えられるのが大嫌いで、自己流に固執するあまり変なクセが直らない」という側面が、力みという最大の敵を招き入れる。「今日のスイングにはこのバランスが合っていない」と、スイングの不調をすぐにクラブのせいにしてしまい、ラウンド中に鉛を貼り始める衝動に駆られる。気分が乗らない時や、簡単なレイアップの場面で露骨に集中力を欠き、適当に打つことで思わぬトラブルを招き、自己嫌悪に陥る悪循環だ。
だが、職人の真骨頂は、深いバンカーや木越えなど、絶体絶命のトラブルショットほど涼しい顔で見事に決めるその精密な技術にある。力みを生む心理メカニズムを理解し、それをゼロにするための身体的・メンタル的アプローチを職人ならではの論理的な思考で構築する。「飛距離をさらに伸ばす」のではなく「今ある飛距離を安定させる」ことが、次の壁を破る鍵となる。理屈は要らない。身体が正しく反応すれば、ボールは飛ぶ。